志望校選びは3つの視点で考える
志望校選びは、最後の最後まで難航します。
子供にとっても難しい判断ですし、親にとっても難しい判断です。
自分たちの判断が子供の中学校生活に影響しますから。
とにかく偏差値でトップを選ぶという場合は非常にシンプルです。しかし、そうもいかない子供がほとんどです。子供が目指せるレベルの中で、より子供に合った教育方針、通いやすい学校を選ぶのが本来です。しかし、それだけではありません。
第1の視点
レベル・校風が子供にあった学校になりますが、実はそれはほとんど親の視点です。
それ以外に2つの観点を忘れてはいけません。
第2の視点
子供が行きたいと思っている学校です。
実は、これがくせ者です。
子供が校風に共感して行きたいと思っているのか、塾のライバルに負けたくないと思っているのか、見極めるのは難しいです。
子供自身が、なぜその学校に行きたいかを客観視して伝えるのはほぼ無理でしょう。
学校のレベルを人と比べる必要はありません。どんな学校に行っても、努力次第でその後の人生が決まることを繰り返し伝える必要があります。偏差値で競うことが一番大切ではないことも繰り返し伝えました。
第3の視点
塾が受けてほしいと思っている学校です。
これもくせ者です。塾はなるべくレベルの高い学校にチャレンジしてほしいと思っています。
塾の合格実績を良いものにするためには、レベルの高い学校を、少なくとも受験してもらう必要があります。
受験をしてもらわなければ合格実績になるわけはないのですから。
一方で、6年生の最後に、どのような伸び方をするか、どんなタイプの子が伸びるかを知り尽くしているのは先生だけです。
「この子ならここまでチャレンジしても大丈夫」という専門家の意見を聞くことも重要です。
真夏の志望校選びストーリー
真夏は、志望校選びで非常に難航しました。
6年生の受験の直前に、2回の志望校変更がありました。
結果的には本人のプレッシャーが減り、前向きに取り組めるきっかけになり、よかったと思っています。
元々第一志望にしていた学校は、近年人気が出ていて、塾の中でも希望する子供が多い学校でした。
親の希望で小学5年生くらいから第一志望の学校を見据えて、学校見学にも行きました。子供も「こういう学校がいい学校なんだな」と思うようになりました。
しかし、志望校別の授業が始まると、同じ志望校を目指す子供たちとの関係がうまくいかず、塾通いに前向きではなくなってきました。
真夏の様子が変だと思い、何かあったのか聞きました。普段弱音を吐かない真夏が「塾の他の子があんまり好きじゃない」と言いました。これはよほどのことだと思い、塾の先生とも話し合いました。
「別にこの学校にこだわっていないし、行きたい学校が別にできたのなら、変えることは問題ない」と話しました。ただ、受験が迫っているタイミングで志望校を変更するので、新しい志望校を目指して真剣にやらないとうまくいかないと伝えました。真夏も納得し、覚悟が決まったように見えました。
ところが、新しい志望校向けの授業を担当する先生が非常に厳しく、恐怖心を感じるようになりました。
受験まで3か月ほどしかなく、方針転換には前向きではありませんでしたが、問題が深刻だったため避けられないと判断しました。
参考記事「2.エンジンがかからなかった子と親、でもそれが良かったのかも」
子供の言葉の真意を探る
これは普段朝寝坊な真夏が、朝塾に向かう車の中で勉強をしていた様子から、変だなと気づきました。
この時すでに受験まで3か月ほどになっていたので、ここでの方針転換には前向きではありませんでしたが、ことが深刻だっただけに、避けられないと判断しました。
実はこの時、真夏はこんなことを言いました。
「先生が怖くて、塾に行くのが楽しくない。でも、せっかくここまで頑張ってきたから、志望校を変えるのはよくないと思う。」
どうやら、親に遠慮してこう言っているような気がしました。
この時の志望校は、伝統的な名門校で、誰もが知る有名校でした。
その学校を志望校から外してしまうと、親の期待にこたえられなくなる、そう思ったのではないかと思いました。
そこで、次のように話しました。
「中学受験で得たことは、毎日勉強する習慣。これは大人になっても大きな財産になる。これだけ頑張れただけでも中学受験は成功だと思っている。」
「もちろん希望の学校には入れたら最高だけど、安全圏の学校も、いい学校ばかり。ここに入れたら大成功だから、志望校は自分が安心できる学校を選ぼう。」
「そのうえでチャレンジできる学校も受けてみよう。」
この日真夏は鼻歌を歌いながらお風呂に入っていたそうです。
よほど気が楽になったのでしょう。
この日を境に、今まで通り前向きに塾に通い始めました。
新しい第一志望は、最近人気が出ている学校です。テストの傾向が真夏にあっている学校でした。
これも気が楽になった理由かもしれません。
この記事のタイトルに「子供の顔色をうかがう」と書いていますが、これは子供のご機嫌取りではありません。
子供が発する言葉は、気持ちをストレートに表現したものではない可能性があります。
友達関係での見栄や親への遠慮、大人に対する建前など、思春期の入り口にいる子供が正直に話せないこともあります。
また、自分の感情を客観的に説明できないこともあります。
この言葉をから、大人がきちんと真意をくみ取るということが大切です。
表面的な言葉だけでなく、振る舞いや体調の変化から読み取ることが、子供にとっていい結果につながるきっかけになります。
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