3.受け入れがたい受験結果と意外な結末

受け入れがたい受験結果と意外な結末 中学受験

手ごたえのない試験と、その通りの受験結果

真夏は、小学生なりにドラマチックな道のりを経て、2月の受験本番に向かいます。

どの受験生もそうであるように、2月1日の午前に第一志望の学校を受験します。
2月4日までの午前と午後の枠を駆使しながら、第一志望を複数回受けたり、第二志望の学校をねじ込んだり、安全圏の学校を組み合わせて、4日間の闘いをこなします。

ちなみに、東京の小学校特有のことだと思いますが、小学校6年生になると、中学受験をする子供たちは、3学期を休みます。
そしてこの2月の4日間の間に、徐々に学校に戻ってきます。
出席者が半分以下の状態で授業が行われるという、異常なシーズンが受験の終わりとともに終了します。

さて、真夏も2月1日に第一志望の学校を受験します。
第一志望の学校は別の比にも受験できるため、2回のチャンスがあります。

第二志望の学校を1回、安全圏の学校を2回受験し、計5回のテストを受けるというハードスケジュールです。
受験結果は、早いところではその日のうちに、遅くても翌日くらいには明らかになります。
その状況を見て受験日後半に受ける学校を変えることもできます。

真夏の手ごたえは、第一志望は「う~ん、わからない。ギリギリかな。」

第二志望は「できなかったかも。」

安全圏の学校は「うまく行った!」

でした。
順当すぎて、何もわからないな、と思っていました。

しかし、真夏の受験結果は、真夏が言った通りでした。
第一志望は2回とも不合格、第二志望も不合格、安全圏の学校だけが合格という結果でした。
受験の結果ではなく、その過程での成長に価値があると考えていた私ですが、結果を聞いてすぐは、正直言ってがっかりしました。

第一志望と日程がバッティングしない安全圏の学校というのは、たいていの場合偏差値が近い学校にはならず、偏差値がそれなりに下がる学校になります。
安全圏ですから当然そうなります。

ですので、真夏にとってふさわしいとはいえない学校に合格をもらった、という印象がぬぐえませんでした。

第一志望に合格する子はわずか

これだけ競争の厳しい中学受験において、第一志望に合格できる子供はごくわずかです。
1割か2割だと聞いたことがあります。

この結果を受け止めた真夏の心境がどうだったのか、私にはよくわかりません。
私もこの結果を受け止めるために時間が必要でしたので、その間の子供の様子を客観的に見ることはできていなかったように思います。

しかし、入学する学校選びを始めた段階で、安全圏の学校のいいところを改めて見直し、受験にささげてきた努力に十分報いるいい学校であることが理解できてきました。

中学受験では完全に満足できる結果にならなかったけれど、人生のほんの助走段階での結果にすぎず、これからの努力でより良い方向にしていくこともできることに、納得できるようになっていました。

「1.中学受験に挑戦した男の子、真夏(※1つ目の記事のリンク)」で、私は進学校の私立高に通っていたことをお伝えしました。私は子供に向かって、建前では偏差値がすべてではないと言っていながらも、やはり偏差値の数字で学校を評価していたようです。

しかし、妻は私立学校に偏差値だけではない価値を見出していたので、安全圏の学校に行くことを、失敗とは思っていないようでした。
これが子供にも私にも、精神的に支えになりました。

参考:「7割が第一志望に受からない」中学受験の現実(東洋経済ONLINE)

参考記事:「9.中学受験はどうなるのか?」

突然の連絡

受験が終わった後も、合格発表後にすべきことはたくさんあります。
入学金を振込み、必要書類を提出しなくてはなりません。そうすると間もなく制服の採寸が始まります。

真夏も入学する学校を決めて、通学路を試しに歩いてみたり、中学校生活を想像し始めている頃でした。
平日の日中、私の携帯電話が鳴ります。
会議中で取ることができなかったため、折り返そうと思い、念のため迷惑電話の番号出ないかどうかを調べるために、受信した電話番号を検索してみました。

すると、第一志望の学校からの電話でした。
「???」
(もしかして、試験に間違いがあって、合格になったとか?いやいや、あんまり期待しすぎてもよくないか。)
と、血の気が引くような緊張感で、折り返しの電話をかけました。

すると、

「繰り上げ合格のお知らせです。もうすでに入学される学校はお決まりでしょうか?」
と、いう知らせでした。
「もうすでに決めましたが、第一志望だったので、この知らせを聞いたらそちらに入学したいと言うと思います。」
と伝えると、
「そうですか、では本日の12時までに入学金をお振込みいただくことできますか?」
と、そのとき10時だったので、割と無茶な要望を伝えられました。

本当は真夏に意思を確認してから振り込む方がよかったのでしょうが、私もあわててしまい、「はい、振り込みます」と伝え、急いで準備をしました。

反省と喜びを感じた不思議な受験結果

真夏の中学受験は、第一志望と第二志望に不合格だった受験から、一転して第一志望に合格した受験に変わりました。

不合格の時の思いを味わえたことは、中学受験に何を求めていたか、本当に大事なものは何かを真剣に考えるいい機会でした。
私は偏差値を求め、妻は教育環境を求めていました。
真夏は何を求めていたか、正確には分かりませんが、第一志望の合格の知らせを聞いた時の喜びようを見ると、ある程度自分が報われるレベルの高い学校への合格と、何度も学校見学に行ってあこがれを持った学校の環境の両方に価値を感じていたようでした。

そして、合格が努力をしたら当然得られるものではなく、努力をして、それでも報われないこともあることを実体験できたことも大きな意味があったと思います。
きっと繰り上げ合格の前には、「もっとやっておけばよかった」という後悔も少ししていたのではないかなと思います。

この経験が、次の人生の岐路で、努力につながるきっかけになればと思っています。

参考記事:「8. 中学受験で見えた子供の成長」

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